「先天性欠如歯」は早期発見が大切

先天性欠如歯

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)について

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)について

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)とは、正常な歯の数よりも少ない歯のことを指します。人間の歯の数は、乳歯が20本、永久歯が28本で、親知らずを含めると最大で32本あります。しかし、近年、永久歯がもともと少ない先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の方が増えています。日本小児歯科学会の調査によると、全国の7歳以上の子ども約1万5,000人のうち、10人に1人の割合で永久歯が生えない子どもがいることがわかりました。乳歯がいつまでも生え変わらない、6歳臼歯が出てこないなどの場合は要注意です。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は、通常生えるべき永久歯が存在しない状態を指します。親知らずを除くと、永久歯は通常28本ですが、その一部が生えてこない場合に先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)と言います。乳歯の下には将来永久歯になるための歯胚(しはい)がありますが、何らかの理由でこの歯胚が形成されないと、永久歯が生えてこない状態になります。すべての歯が欠如している場合は無歯症とも呼ばれます。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)になる原因やリスク

永久歯が欠如している場合、乳歯をできるだけ長く保つことが推奨されます。個人差はありますが、20代から30代まで乳歯が残っているケースも見られます。しかし、乳歯は永久歯に比べて根が浅く、虫歯になりやすいなど、歯質が弱いため、一生残すのは難しいです。

乳歯が抜けてしまったら?

乳歯が抜けてしまったら?

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の部位の乳歯が抜けると、一般的な欠損歯と同じ状態になります。その結果、隣接する歯が欠如部分に向かって倒れ込むことがあります。歯がない状態が続くと、隣の歯が欠如部分に向かって倒れたり、向かい合う歯が伸びてきたりして、歯並びや噛み合わせが悪くなります。これが原因で顔やあごの変形、骨格の歪みを引き起こすことがあります。

 

最悪の場合、支えを失った歯や伸びてきた歯が抜け落ち、欠損本数が増えることもあります。虫歯や歯周病で歯を失う場合と同様に、先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)で乳歯を失った場合も、早めに欠損治療を受けることが重要です。特にお子様の場合、歯並びの悪さが成長や発音、呼吸に影響を与える可能性があります。定期的にチェックを受けられるように、信頼できる“かかりつけ歯科”を作ることをおすすめします。

なぜ先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)が発生するのか

なぜ先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)が発生するのか

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は、永久歯のもととなる歯胚(しはい)が何らかの理由で作られないことで発生します。原因は明確ではありませんが、以下の要因が関与していると考えられます。

 

・遺伝
・歯の発育期における栄養障害
・感染
・外傷
・放射線障害
・内分泌障害
・風疹の罹患
・母親の妊娠中の栄養障害や梅毒

 

これらの要因が複雑に絡み合うことで、歯胚の形成が阻害され、先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)が生じると考えられています。

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の発生確率

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は、少数の歯が欠如する「部分性歯牙欠如症」と、多数の歯が欠如する「全部性歯牙欠如症(無歯症)」に分類されます。では、どの程度の確率で発生するのでしょうか。2010年11月に実施された日本小児歯科学会の調査によれば、約10人に1人の割合で発生することが明らかになりました。

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の発生部位

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の発生部位

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は、特定の歯が欠如しやすい部位があります。乳歯では上下顎の乳側切歯(前から2番目の歯)が最も欠如しやすいです。永久歯では上下顎の第三大臼歯(親知らず)が最も欠如しやすく、次いで上顎側切歯(前から2番目の歯)、上下顎第二小臼歯(前から5番目の歯)、下顎中切歯(前から1番目の歯)も欠如しやすい部位として知られています。一方で、第一大臼歯(前から6番目の歯)が欠如することは稀です。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)が発生するとどんな影響がある?

歯が欠如した状態が長期間続くと、周囲の歯に悪影響を及ぼします。例えば、欠如した部分の隣接歯が倒れ込んだり、噛み合う歯が伸びてきたりします。このような変化が起こると、以下のような問題が発生します。

 

・咀嚼障害
・歯列や顔貌への影響
・発音障害
・顎関節への影響

 

これらの問題は、日常生活に大きな支障をきたすことがあり、早期の対処が重要です。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の早期発見には

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の早期発見には

幼少期からの歯科検診が重要です。先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は、かかりつけの歯科医院や学校検診で指摘されるまで、本人や保護者が気づかないことが多いです。早期発見のためには、信頼できる歯科医院を見つけ、定期的に診てもらうことが大切です。歯科医院でレントゲン写真を撮影することで、歯の生え変わりや顎の骨の状態を確認し、口腔全体の健康状態を把握できます。定期的な検診は、歯の生え変わりを予測・観察し、健康を維持するのに役立ちます。

 

また、乳歯の前歯に癒合歯(2つの歯が1つになっている歯)がある場合や、奥歯が乳歯のまま残っている場合、両親のどちらかに先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)がある場合は、先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の発生確率が高くなります。さらに、乳歯がなかなか抜けない、永久歯が生えてこないなどの場合も、先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)が疑われます。

 

日頃から自身の歯に関心を持つことも、早期発見の手段の一つです。先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)は長期的な治療計画が必要になるため、「おかしいな」と思ったら早めに歯科医院を受診しましょう。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の対策

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)の対策

乳歯が本来の寿命を超えて残っている場合、その乳歯は虫歯になりやすく、進行も早いため、将来的に歯を失うリスクが高まります。そのため、乳歯を残す場合は、歯科医院での定期的なケアと管理が重要です。

 

もし乳歯が抜けてしまった場合、以下の治療を行うことが多いです。

 

・補綴的治療:ブリッジ、インプラント、入れ歯などで永久歯がない部分を補います。
・矯正治療:矯正治療により、永久歯がない部分のスペースを閉じます。なお、永久歯の先天性欠如(永久歯が生えない/大人乳歯)が6歯以上の場合は、保険適用となります。

 

先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)に適切に対応することは、安定した噛み合わせを作り、しっかりと噛める歯を維持するために必要です。「もしかして先天性欠如歯(永久歯が生えない/大人乳歯)かも?」と思われたら、ぜひご相談ください。