歯周病治療・歯周外科治療

歯周病治療・歯周外科治療
 

歯周病とは

歯周病とは歯周病は、歯周ポケットに潜む細菌による慢性の感染症です。 人の体は皮膚で覆われているため、傷がつかない限り細菌が侵入することはありません。しかし、体の中で唯一骨と直接つながっている歯肉部分は、細菌が侵入しやすい場所です。特に、歯の付け根は軟組織で穴が開いているため、細菌が付着すると体の中にすぐに侵入します。 細菌が侵入しても初めは症状がほとんどでませんが、慢性期が長期間続くと細菌を体の中に入れないための防御反応として炎症が起こります。それが歯周病です。 歯周病が原因で高血圧や心筋梗塞、糖尿病、脳梗塞を発症するリスクがあるため、歯周病予防が必要となります。

歯周病の全貌:根本から理解しよう

歯周病の全貌:根本から理解しよう

歯周病が起こる過程

歯周病の発症は、口腔内のバクテリアが歯の表面にプラークという粘り気のある物質を形成し、それが固まりターター(歯石)になることから始まります。これが歯肉に長期間触れると、歯肉炎を引き起こします。この状態がさらに進行すると、歯肉が歯から離れてポケットができ、感染が広がりやすくなります。これが最終的に歯周病へと発展します。

歯周病の影響

歯周病は口腔内だけでなく、全身にも悪影響を及ぼします。口腔内のバクテリアが血流に乗り、全身を巡ることで心臓病や糖尿病、認知症のリスクを高めることもあります。また、歯周病によって歯を失うと、食事に支障をきたしたり、話すことが難しくなったり、笑顔を作ることが難しくなるなど、生活の質(QOL)も低下します。

歯周病と口腔内の健康

口腔内の健康は全身の健康と密接に関連しています。逆に言えば、口腔内の健康を維持することは、全身の健康を保つ1つの手段でもあります。歯周病を予防し、早期に治療することで、あなたの口腔内の健康はもちろん、全身の健康も守ることができます。 今後も定期的な歯科検診を受け、日々の口腔ケアに努めることで、歯周病とは無縁の健康な生活を送ることができるようになります。自分の口腔内をよく観察し、何か異常を感じたらすぐに歯科医に相談しましょう。患者さま一人一人が自身の口腔内の健康に気をつけることが、歯周病予防の第一歩です。

歯周病の謎を解く:その原因を深堀り

歯周病の謎を解く:その原因を深堀り

プラークとターター:隠れた敵を知る

歯周病の1番の敵、それはプラークとターターです。これらは口腔内の常在菌が食べ物の残りカスと結びつき、時間と共に歯の表面に付着します。特に、プラークは極めて粘着性が高く、適切な口腔衛生が行われないと素早く形成されます。適切なブラッシングとフロッシングにより、これらのプラークは容易に取り除くことが可能です。しかし、取り除かれなかったプラークは硬化してターター(歯石)になり、これが歯周病の初期段階、歯肉炎の主な原因となります。さらに放置すると、ターターの下に新たなプラークが形成され、歯肉から離れた部分、いわゆる「歯周ポケット」で炎症を引き起こし、歯周病を発症させます。

遺伝と環境因子:リスクを高めるもの

一方で、遺伝的な要素や生活環境が歯周病の発症に影響を及ぼすこともあります。歯周病になりやすい体質を持つ人もいるということです。これは、家族の中で歯周病の人が多い場合、遺伝的な要素が関与している可能性があります。さらに、生活習慣やストレス、食生活などの環境要素が、口腔内の健康を左右する大きな要素となります。

喫煙とアルコール:歯周病への追い風

また、喫煙や過度のアルコール摂取も歯周病リスクを高める要素として知られています。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させて歯肉の血流を減少させ、組織の修復能力を阻害します。これにより、プラークと歯肉との間の「戦争」において、プラーク(バクテリア)が優位に立つこととなります。一方、アルコールは口の中を乾燥させ、善玉菌と悪玉菌のバランスを崩し、悪玉菌の増殖を助けます。 このような要素が絡み合って歯周病が発症します。つまり、口腔内環境の管理と生活習慣の改善が歯周病を予防する最良の策となるのです。定期的な歯科検診により、初期の歯肉炎を見つけ、適切な処置を行うことで、患者さまの口腔内の健康を維持することが可能です。

当院の歯周病治療の特徴

歯周病は、治療後のメンテナンスが重要です。当院では担当歯科衛生士制を導入し、患者さんの口腔環境を健康な状態に維持できるよう、歯周病が再発しないよう予防治療を徹底しています。 むし歯や歯周病の予防治療を専門に学んだエキスパートの歯科衛生士が口腔内のクリーニングを担当し、定期メンテナンス時に丁寧にお口の中を確認いたします。 できるだけ痛みが出ないように配慮しながらクリーニングやケアを行いますが、もしも痛みがある場合には遠慮なくお伝えください。 治療後は受付にて患者さんに治療内容についてのご感想をお聞かせいただいております。担当歯科衛生士制を導入しておりますが、時には患者さんと担当者の相性が合わない場合もあります。そのようなときには担当を変更することも可能ですから、遠慮なくお申し出ください。

年齢に応じた健康な歯ぐきとは

年齢に応じた健康な歯ぐきとは30 代患者さんの健康な歯ぐきは歯肉は薄いピンク色。歯と歯の間の歯肉はきれいな三角形です。 50代になると歯肉のピンク部分が少なくなりますが、歯と歯の間の歯肉の形は三角形を保ちます。歯と歯の間に多少隙間が出来始めますが、衛生的な環境を維持すれば綺麗な口腔環境が保てます。 70代になると前歯の上下の歯肉に隙間が見られるようになりますが、衛生的な環境を維持すれば歯肉がピンク色の引き締まった状態を維持することが出来ます。 歯と歯の間の歯肉に隙間が見られるようになりますが、衛生的な環境を維持すれば歯肉もきれいな淡いピンク色を保てます。歯肉も引き締め、歯周ポケットも3mm以内に収めることが可能です。

歯周病の早期警告信号:見逃さないために

歯周病の早期警告信号:見逃さないために

歯肉の変化:赤み、腫れ、出血のサイン

歯周病の早期症状としてまず挙げられるのが、歯肉の赤み、腫れ、そして出血です。普段のブラッシングやフロッシングで歯肉から血が出ることは、歯肉炎の可能性を示しています。特に、赤く腫れた歯肉や、痛みを伴うことはないものの、ブラッシングやフロッシング、または食事中に出血することがある場合は要注意です。これらは歯周病が進行する前の初期症状であり、早期に対処することで重度の歯周病を防ぐことが可能です。

不快な口臭と味覚の変化:予想外の警告信号

また、口臭が気になる、または食べ物の味が変わったと感じた場合も、歯周病の可能性を示しています。これらの症状は、口腔内のバクテリアが増えてきている可能性を示すため、注意が必要です。口腔内環境が悪化すると、バクテリアが増加し、これが悪臭を引き起こします。また、これらのバクテリアが歯や歯肉に悪影響を及ぼすことで味覚に変化を引き起こすことがあります。

歯の動きと歯並びの変化:見逃しやすい症状

最後に、歯が揺れる、歯並びが変わったと感じる場合も、歯周病の進行を示す可能性があります。これは、歯周病が進行し、歯を支える骨や組織が破壊されていることを意味します。初期段階では気づきにくいかもしれませんが、こうした変化に早めに気づき、歯科医に相談することが重要です。 これらの早期症状は、患者さま自身が自分の口腔内の変化に気づくことで早期発見が可能です。定期的な歯科検診を受けることも大切ですが、自身の口腔内の状態を日々観察することが、健康な口腔生活を維持するための最初の一歩と言えるでしょう。

歯周病の進行とその影響:あなたの口腔健康の全体像

歯周病の進行とその影響:あなたの口腔健康の全体像

歯周病の進行段階:病状の進行と特徴

歯周病の進行は、基本的に2つの段階を踏んで進行します。最初の段階は「歯肉炎」で、これは歯肉のみが感染している状態を指します。歯肉炎では、歯肉が赤く腫れて、痛みを感じ、ブラッシングやフロッシングで出血することもあります。しかし、この段階ではまだ損傷は逆転可能で、適切なケアと治療で健康な歯に戻すことができます。 歯肉炎が放置されると、症状が進行し、「歯周病」へと移行します。この段階では、歯肉だけでなく、歯を支える骨や組織も感染と炎症の影響を受けます。結果として歯が揺れたり、最悪の場合、歯が抜け落ちる可能性があります。

歯周病から歯喪失へ:深刻な結果の可能性

歯周病は、口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす重大な疾患です。歯周病が進行すると、歯を支える骨や組織が次第に破壊されます。これが進行すると、歯をしっかりと支えられなくなり、揺れるようになり、最終的には抜け落ちる可能性があります。このような歯の喪失は、咀嚼機能の低下や美容面での問題を引き起こすだけでなく、生活の質を大きく損なう可能性があります。

歯周病と自己評価:あなた自身の役割

患者さまによって、歯周病の進行状況や影響は異なります。しかし、最も重要なことは、自分自身の口腔内の健康に対する理解と評価が必要であるということです。歯周病の初期症状を見逃さないこと、そして何か問題があればすぐに歯科医に相談することが、歯周病の進行を防ぐ上で非常に重要となります。

歯周病の種類と各病状の特徴:深く理解するために

歯周病の種類と各病状の特徴:深く理解するために

歯肉炎と歯周病:初期症状から進行状態へ

歯周病の1番はじめのステージは、歯肉炎と呼ばれます。歯肉炎では歯肉が赤く腫れ、時々出血することがあります。これは主に歯垢と呼ばれるバクテリアの集まりが原因で起こります。ただし、この段階では、適切なブラッシングやフロッシング、そして定期的な歯科医療によって進行を防ぐことが可能です。 歯肉炎が適切な治療を受けずに放置されると、歯周病に進行します。歯周病は、歯肉だけでなく、歯を支える骨をも侵す深刻な感染症です。未治療の歯周病は歯の喪失を引き起こす可能性があります。

重度の歯周病:慢性歯周病と急性歯周病

歯周病はさらに2つのカテゴリーに分けられます。1つは慢性歯周病で、これは大人に最も一般的な形の歯周病です。慢性歯周病では、歯肉と歯の支持組織がゆっくりと損傷を受けます。治療が遅れると、歯の喪失に繋がる可能性があります。 もう1つは急性歯周病で、これは比較的珍しい形の歯周病ですが、非常に重篤な状況を引き起こすことがあります。急性歯周病では、歯肉の炎症や感染が急速に進行し、しばしば強い痛みを伴います。

妊娠と歯周病:特別なリスクの理解

妊娠中はホルモンの変化により、歯肉がバクテリアに対してより敏感になるため、歯周病を発症しやすくなります。これを妊娠性歯周病と呼びます。妊娠性歯周病は、妊娠中から出産後までのあいだに発生する可能性があり、新生児の低体重や早産のリスクを高めると報告されています。妊娠中は定期的な歯科検診を受け、口腔衛生をしっかりと管理することが特に重要となります。

歯周病の症状

歯ぐきの腫れ・出血が気になる方へ

◎歯肉炎・軽度歯周炎
歯肉炎・軽度歯周炎_1
歯肉炎・軽度歯周炎_2
歯ぐきの縁が赤く腫れ、歯磨きの時に出血する場合には、歯肉炎や歯周炎の可能性があります。症状が歯ぐきに限定されている場合は、歯磨き指導により改善される場合がほとんどです。 ただし、歯がぐらぐらするほどに症状が進んでいる場合には、外科的な処置が必要になる場合があります。 【歯肉炎】 炎症が歯ぐきのみに見られます。歯ぐきの縁が赤く腫れ、歯磨きの際に出血することがあります。この状態を放置すると、歯周炎へと進み最終的には歯が抜け落ちてしまいます。 【軽度歯周炎】 歯周ポケットが 3mm 以内で、歯の揺れる幅が 0.7 ~ 1.0mm 以内の状態を軽度歯周炎と呼びます。骨が少し溶け始めますが痛みを伴わないので気付きづらい状態です。 歯磨き指導 ( Teeth Brushing Instruction ) を行い、ご自身で丁寧に歯磨きをしていただくこと、また、クリニックにて歯石の除去も併せて行います。 下の画像は、歯磨き指導だけで改善した例です。
歯肉炎・軽度歯周炎_3
歯肉炎・軽度歯周炎_4
  • 症状 歯周ポケットがすこし出来始めた状態で来院されました。歯の揺れ幅も1mm以内だったため、歯石の除去と歯磨き指導を行い、自宅で丁寧に歯磨きをしていただいた。
  • 使用した物 患者さんの口腔環境にあった適切な歯ブラシ
  • 治療期間 おおむね1、2ヶ月
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 50,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

歯がぐらぐらしている方へ

◎中等度・重度歯周炎
中等度・重度歯周炎_1
中等度・重度歯周炎_2
中等度~重度の歯周炎(歯周病)により、歯を支える骨が失われて歯がぐらぐらしている状態です。歯ぐきが後退していくため、歯が長くなったように見え、口臭が気になり始めるほか、歯ぐきから膿が出たりします。場合によっては抜歯が必要になることもありますので、早急にご相談ください。 【中等度歯周炎】 歯周ポケットが 3 ~ 6mm 以内、歯の揺れる幅が 1 ~ 2mm 以内で骨が半分程度溶けてしまった状態です。歯がぐらぐらし始め、歯ぐきは後退して歯が長くなったように見えてきます。 【重度歯周炎】 歯周ポケットの深さが 6mm 以上、歯の揺れる幅が 2 ~ 3mm の歯周炎を重度歯周炎といいます。歯を支える骨は 3 分の 2 程度失われて、歯はぐらぐらして硬いものを噛むことができなくなります。 外科的な処置を中心に、場合によっては抜歯という選択肢も視野に入れて治療をしてまいります。

重度歯周病の治療例

◎重度歯周病の治療例 治療例 1
治療前 重度歯周病の治療例1_治療前
治療後 重度歯周病の治療例1_治療後
  • 症状 重度の歯周炎により上顎の歯が全て外向きにひらき歯間が開いた状態で来院されました。
  • 治療方法 下顎臼歯部(下奥歯)を抜歯した状態のままになっておりましたので、前歯が強くあたり、歯周病も重なり前歯が開いてしまっていました。下奥歯欠損部はインプラントによる治療、また開いてしまった上顎は矯正により元の位置に戻しました。下に入れたインプラントにより全ての歯が均一に噛み合うようになり、歯周病の治療もスムーズに行えました。
  • 使用した物 歯周病治療にプラスしてインプラント治療を行いました。(歯周病の周りの歯を連鎖的に悪くさせたいため)
  • 治療期間 1年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。また、歯周病の存在が周りの歯に悪い影響を与えるため、無理に残すと他の歯にも影響を与えてしまいます。この患者さんは、連鎖の可能性が高い歯も同時に抜歯をされたため、歯周病のリスクは回避できました。
  • 金額 2,000,000円 (税込み)

治療例 2

治療前 重度歯周病の治療例2_治療前

治療後

重度歯周病の治療例2_治療後
  • 症状 重度歯周炎により下顎前歯が動揺して来院されました。
  • 治療方法 下顎前歯4本は動揺が著しく、歯並びが悪くメンテナンスが上手くできない状態でしたので抜歯させていただきました。抜歯後、歯肉の退縮を最小限に抑える為、ソケットプリザベーションにより人工の骨を填入、平らでメンテナンスのしやすい状態にし、その後ブリッジの製作を行いました。
  • 使用した物 ソケットブリザベーション(インプラント治療)※治療後15年経過の状態
  • 治療期間 4ヶ月
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 400,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

治療例 3

治療前 重度歯周病の治療例3_治療前

治療後

重度歯周病の治療例3_治療後
  • 症状 歯の動揺と隙間が広くなってきた事を気にされて来院されました。
  • 治療方法 左下奥歯(臼歯)は欠損したままになっておりましたのでインプラントによる欠損部の治療を行いました。欠損部にインプラントを入れるだけの充分な骨量がありませんでしたが、残存歯の負担をなるべく少なくするため、インプラント治療を行っています。その他歯周病治療を行っておりますが、上顎正中は歯槽骨の欠損が大きかった為、エムドゲイン法による再生治療も行っています。
  • 使用した物 再生療法 ※治療後20年以上経過した状態
  • 治療期間 4ヶ月
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 50,000円〜200,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

料金について

歯周病の診断:検査と評価を理解する

歯周病の診断:検査と評価を理解する

初期診察:視覚検査とX線

歯周病の診断はまず、専門的な視覚検査から始まります。歯科医師は患者さまの口内を詳細に調べ、歯肉の色や形状、歯肉と歯との接触部、歯と歯の間隙、さらには口臭などを観察します。視覚検査ではまた、歯の動きや噛み合わせもチェックされます。これらの情報は全て、歯周病の診断と治療計画作成にとって重要な要素となります。 しかし、視覚検査だけでは不足する場合もあります。そこで、X線検査です。これにより歯科医師は、目では確認できない骨の構造や歯の根元、そして歯と骨との関係を詳しくみることができます。特に、歯周病が進行すると歯を支える骨が徐々に失われます。この骨の損失の程度をX線で確認することが重要です。

歯周ポケットの測定

視覚検査とX線検査の後に行われるのが、歯周ポケットの測定です。歯周ポケットとは、歯と歯肉の間に存在するスペースのことで、この深さが、歯周病の進行を示す重要な指標となります。歯科医師は専用の器具を使って歯周ポケットの深さを正確に測定します。健康な状態ではこのポケットの深さは1~3mm程度ですが、4mm以上になると歯周病の可能性が高くなります。

歯周病の進行度評価

これらの検査結果をもとに、歯科医師は歯周病の進行度を評価します。歯周病は初期の銀歯炎から始まり、徐々に進行して重度の歯周病へと移行します。進行度の評価は、歯肉の状態や歯周ポケットの深さ、骨の損失の程度などを考慮して決定されます。 これらの検査と評価を通じて、患者さまに最適な治療計画が立案されます。また、早期の段階で歯周病を発見することができれば、より効果的な治療が可能となります。そのため、定期的な歯科検診の受診をお勧めします。
 

歯周外科治療とは

歯周外科治療とは
歯周外科治療とは、歯周病に対する治療や抜歯を避け、歯を残すための再生療法のことです。破壊された歯の周囲の組織や骨の再生を促します。

歯周病の治療:非外科的介入から外科的手術まで

歯周病の治療:非外科的介入から外科的手術まで

スケーリングとルートプレーニング

歯周病の治療は、患者さまの病状や病程によりますが、まず非外科的な介入としてスケーリングとルートプレーニングが行われます。スケーリングとは、歯の表面や歯肉の下の歯石を取り除くことで、歯肉の炎症を改善し、歯周ポケットを深くする原因を排除するものです。一方、ルートプレーニングは、歯の根面を滑らかにすることで、細菌が付着しにくい状態を作り出します。これらは通常、歯科医院で行われ、数回の通院が必要となることが多いです。

歯周フラップ手術

非外科的治療が効果を示さない場合、または病状が進行している場合には、歯周フラップ手術が必要となることがあります。この手術は、歯周ポケットを直接清掃し、感染した歯肉を取り除くために行われます。歯科医師は、歯肉を軽く持ち上げ、歯周ポケット内のプラークとターターを除去した後、歯肉を元の位置に戻します。手術は局所麻酔下で行われ、通常は短時間で終了します。

再生手術とインプラント

さらに重度の歯周病では、歯を支える骨や組織が失われることがあります。この場合、再生手術が選択肢となります。この手術では、失われた組織を再生するために、自己組織や人工組織、あるいは生物学的材料を使用します。再生手術の成功は、患者さまの全身の健康状態や生活習慣、そして治療後の口腔衛生管理に大きく依存します。 最終的に歯の喪失が避けられない場合、歯科インプラントが考慮されます。インプラントは、人工の歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。インプラントは、自然な見た目と機能を持つため、質の高い生活を送るための一助となります。 それぞれの治療法は、患者さまの病状や全身の健康状態、期待する結果に応じて選ばれます。最良の治療を選択するためには、歯科医師とのオープンなコミュニケーションが不可欠です。患者さま自身が自身の病状を理解し、自身の健康に対する意識を持つことが重要です。

治療方法

【エムドゲイン法】

歯周ポケットの改善や歯槽骨の再生を促すための治療です。 むし歯などの治療が終わった段階で、歯周ポケットが6mm以上ある場合、エムドゲインによる再生療法を行います。 歯肉を切開して歯根を露出させます。歯根表面の歯石を除去した後、汚れを徹底的に取り除き、エムドゲインを塗布します。その後、歯肉弁を戻し縫合します。

【歯肉弁根尖側移動術】

歯肉が狭い場合や歯周ポケットが深い場合に行う外科手術です。 むし歯が歯槽骨の近くまで達している場合でも、歯肉の位置を下げて歯を長く露出させ治療することで歯を残すことが可能です。また、歯ぐきの位置がばらばらで一定していない方の審美治療としても利用できます。

【根面被覆術】

歯肉退縮(歯ぐきが下がること)のため露出した歯根面を覆う治療方法です。 歯肉を移植し縫合することで、露出していた歯根を覆い歯ぐきを短くできます。もともと歯ぐきの長さがバラバラの方の審美治療としても有効です。

【PAOO(即時矯正)】

矯正治療時の歯の移動を、効率よく短期間で行う治療方法です。歯の移動を行う場合に歯槽骨(歯ぐきの骨)に切れ目を入れて歯を動かしやすくします。歯の移動と骨再生を同時に行うことで、治療期間の短縮と歯槽骨の増大が見込まれます。

治療例

中等度・重度歯周炎まで進行してしまった場合、外科的な処置が中心となります。 ◎エムドゲイン法 歯周病によって部分的に失われた歯を支える組織を回復する治療です。歯ぐきを切開し、失われた歯周組織の部分にエムドゲインという薬剤を塗布して縫合します。

治療前

エムドゲイン法_治療前

治療後

エムドゲイン法_治療後
  • 症状 歯周病により、歯周ポケットが深くなり、歯がグラグラし始めたので来院されました。
  • 治療方法 エムドゲイン法で、片側の歯槽骨の再生を促す治療を行いました。
  • 使用した物 エムドゲイン液の塗布。
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

◎歯肉弁根尖側移動術 (APF – Apically Positioned Flap surgery) 歯周病に侵された歯肉を除去し歯周病の進行を食い止める手術です。歯周ポケットが浅くなり、歯周病原菌が繁殖しづらい環境を作ります。

治療前

歯肉弁根尖側移動術_治療前

治療後

歯肉弁根尖側移動術_治療後
  • 症状 歯周病治療のため来院されました。歯周病が悪化し歯周ポケットが深くなり、歯肉の位置も上下バラバラに見える状態です。
  • 治療方法 上顎前歯のブリッジを取り外し、歯肉を切開しました。歯周ポケットがなくなったことで口腔環境は大幅に改善しました。最後にオールセラミックスのブリッジを装着して完了です。
  • 使用した物 オールセラミックスのブリッジ
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

◎根面被覆術 歯周病が進行すると、歯を支える歯周組織が破壊され、歯ぐきは後退して歯が長くなったように見えます。歯周病が治った後もこの後退した歯ぐきは元に戻らないため、笑ったときの見栄えを気にされる方も多くいらっしゃいます。根面被覆術は歯肉を移植して見栄えを改善する手術です。

治療前

根面被覆術_治療前

治療後

根面被覆術_治療後
  • 症状 歯周ポケットの一部がかなり深くなった状態で歯根が露出し、歯肉もなくなり菌が繁殖している状態です。
  • 治療方法 歯肉を移植して縫合した後、露出していた歯根を覆う根面被覆術を行いました。
  • 使用した物 オールセラミックスの被せ物
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)
◎PAOO(即時矯正) 歯並びが悪いと、歯磨きもしづらく、歯周病の治療・プラークコントロールが困難になります。こうしたケースでは、まずこのPAOOで歯並びを速やかに改善し、歯周病治療を効果的に進めることができます。

治療前

PAOO(即時矯正)_治療前

治療後

PAOO(即時矯正)_治療後
  • 症状 歯並びや噛み合わせが悪い状態です。歯周ポケットが深く、歯周病が悪化している状態で来院されました。
  • 治療方法 歯の移動を効率よく短期間で行うためにPAOO(即時矯正)で対応しました。歯が適切に移動できるように歯槽骨(歯ぐきの骨)に切れ目を入れ、歯の移動と骨再生を同時に行い、短期間で矯正治療が完了できました。
  • 使用した物 即時抜歯矯正治療のみ
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

歯周病予防のためのホームケア

歯周病予防のためのホームケア

正しいブラッシングとフロッシングの手法

歯周病の予防は、毎日のホームケアから始まります。その中心にあるのが、正しいブラッシングとフロッシングの手法です。まずは、柔らかい毛の歯ブラシを選び、歯と歯肉の境界に沿って45度の角度でゆっくりとブラッシングします。このとき、力を入れすぎず、歯肉を傷つけないように注意が必要です。 フロッシングは、ブラッシングだけでは届かない歯と歯の間の汚れを取り除くために重要です。フロスを歯と歯の間に優しく滑り込ませ、ゆっくりと上下に動かしてプラークを除去します。

口腔衛生製品の選択

歯ブラシやフロスだけでなく、適切な口腔衛生製品の選択も歯周病予防に役立ちます。抗菌成分を含む歯磨き粉や口内洗浄液は、口腔内の細菌の増殖を抑制し、プラークの形成を防ぎます。また、電動歯ブラシは、手動ブラッシングよりも効果的にプラークを除去するとされています。

定期的な歯科検診

そして何より、定期的な歯科検診が重要です。専門家によるチェックアップとクリーニングは、自宅でのケアだけでは取り除けない汚れを取り除き、初期の歯周病や虫歯を早期に発見することが可能となります。歯科医師や歯科衛生士は、あなたの口腔状況を評価し、必要なケアやアドバイスを提供します。

歯周病と全身の健康:歯周病と他の病気との関連

歯周病と全身の健康:歯周病と他の病気との関連

歯周病と心臓病、糖尿病のリンク

歯周病が全身の健康に影響を及ぼすことは、科学的にも実証されています。特に注目されるのが、心臓病と糖尿病との関連性です。歯周病が進行すると、細菌とその毒素が血流に入り、全身を巡ることになります。これが炎症を引き起こし、心臓病のリスクを増加させると考えられています。また、糖尿病の患者さまは歯周病を発症しやすく、逆に歯周病が糖尿病のコントロールを困難にするという相互作用が存在します。

歯周病と妊娠、出産のリスク

妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯周病を発症しやすくなります。重度の歯周病は、早産や低体重出生のリスクを増加させることが示されています。妊娠を希望する女性、妊娠中の女性は、口腔内の健康を特に意識する必要があります。

歯周病とアルツハイマー病

最近の研究では、歯周病とアルツハイマー病との間にもつながりが指摘されています。歯周病が進行すると、口腔内の細菌が血流を通じて脳に到達し、炎症や免疫反応を引き起こすと考えられています。これがアルツハイマー病の発症や進行に関与する可能性があるため、歯の寿命を延ばすことは健康寿命を延ばすことにも繋がります。

歯周病と栄養:食事で何ができるか

歯周病と栄養:食事で何ができるか

歯周病予防のための栄養素

歯周病の予防に欠かせないのは、適切な栄養素を含むバランスの取れた食事です。これらの栄養素は、口腔内の健康を保つだけでなく、全身の健康にも寄与します。 ビタミンCは抗酸化作用を持ち、細菌による歯茎の炎症を抑える役割を果たします。これにより、歯周病の一因となる歯茎の腫れや出血を防ぐことができます。また、ビタミンCはコラーゲンの生産を助けるため、歯茎組織の健康にも重要です。果物や野菜に多く含まれています。 また、ビタミンDとカルシウムは、歯の健康を維持するために必要な栄養素です。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、健康な歯と骨を維持します。乳製品や魚に豊富に含まれていますが、日光浴によって体内で生成することも可能です。

ダイエットと口腔内環境

食事の内容は、口腔内の環境に大きな影響を及ぼします。砂糖や加工食品の過剰な摂取は、口腔内の細菌の増殖を助け、歯周病を引き起こしやすくします。逆に、バランスの良い食事は口腔内環境を保ち、歯周病を予防します。また、定期的な適度な運動と組み合わせることで、全身の健康促進と口腔内の健康維持につながります。

サプリメントの役割

日常の食事だけでは摂取が難しい栄養素や、特定の状況下で必要な栄養素を補うためには、サプリメントが役立ちます。特にビタミンDは日光を浴びることで体内で生成されますが、十分な日光に触れられない場合や、年齢によりビタミンDの生成が難しい場合は、サプリメントで補うこともおすすめです。 しかし、サプリメントはあくまで補助的な役割を果たすものであり、適切な食事の代わりにはなりません。また、必要以上のサプリメント摂取は体に負担をかける可能性がありますので、適量を守ることが重要です。

歯周病とストレス:心理的な要素の影響

歯周病とストレス:心理的な要素の影響

ストレスと免疫システム

患者さまが思わぬ敵から身を守るためには、健康な免疫システムが欠かせません。この免疫システムは、私たちの体を病原体から守る壁となりますが、長期にわたるストレスはこの壁を弱め、体全体、特に口腔内の健康を脅かします。実際、慢性的なストレスは歯周病を発症するリスクを高めることが科学的に証明されています。 ストレスは体内のコルチゾールレベルを上げ、これが免疫反応を抑制し、炎症を引き起こしやすくします。結果として、歯肉の炎症や歯周病を発症しやすくなるのです。

マインドフルネスとリラクゼーション

ストレス対策として、リラクゼーションやマインドフルネスの実践が有効です。マインドフルネスとは、自分自身の感情や体の状態に注意を向け、現在を生きる技法です。これにより、自分自身の感情をコントロールし、ストレスを軽減することができます。 また、リラクゼーション法には深呼吸、ヨガ、瞑想などがあります。これらはすべてストレスホルモンのレベルを下げ、心と体をリラックスさせ、免疫システムの健康を保つのに役立ちます。

ストレス対処法と予防策

ストレスと適切に向き合うことは、歯周病の予防となります。具体的なストレス対処法としては、十分な睡眠をとる、定期的に運動する、バランスの良い食事を摂る、リラクゼーション法を習得する、社会的なサポートを求める、などがあります。 特に、心地よい環境で心地よい音楽を聴く、好きな本を読む、散歩する、好きな趣味を楽しむといった、楽しい活動は心の安らぎをもたらし、ストレスレベルを下げます。 歯周病は口腔内だけでなく、全身の健康にも影響を与えます。そのため、歯周病の予防と治療は、全身の健康維持に対する取り組みとして重要です。そして、その一部として、ストレスの管理とリラクゼーションの導入が求められます。自分自身の感情と健康に向き合い、適切なストレス対処法を見つけることで、心と体の健康、そして口腔の健康を守ることができます。

歯周病の専門家:誰に相談すべきか

歯周病の専門家:誰に相談すべきか

一般歯科医と歯周病専門医

歯周病の問題が生じた場合、まずは一般歯科医に相談することをおすすめします。一般歯科医は口腔全般の問題に対応でき、初期の歯周病ならば適切な診断と治療を提供できます。 しかしながら、症状が重度であったり、病状が進行していたりする場合には、歯周病専門医(歯周病専門医)の意見を求めることをおすすめします。歯周病専門医は、一般歯科医と比べてより高度な診断技術と治療法を持っており、複雑な症状や難治性の歯周病に対する治療を行うことができます。

歯科衛生士の役割

歯科衛生士は歯周病の予防と治療において大変重要な役割を果たします。歯科衛生士は口腔衛生の指導や、プロフェッショナルクリーニング(スケーリングやルートプレーニング)を行います。また、日々の口腔ケアの重要性を教え、適切なブラッシングやフロッシングの方法を指導することで、患者さまの口腔衛生状態を維持するお手伝いをします。

専門的なケアとセカンドオピニオン

歯周病は重症化すると全身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。そのため、診断や治療法に疑問を持った場合、または自分自身の病状に不安を感じた場合には、別の医師の意見(セカンドオピニオン)を求めることをおすすめします。 また、一般的な口腔ケアだけでなく、歯周病の予防や管理において専門的なケアが必要となる場合もあります。その場合には、歯周病の専門医や歯科衛生士と連携し、適切な治療計画を立てることが重要です。 これらの専門家と連携することで、患者さまは歯周病を適切に管理し、健康な口腔環境を維持することができます。その一方で、自分自身の口腔の健康に対する理解と意識を高めることも、歯周病予防にとって不可欠です。患者さま自身が主体となって口腔ケアに取り組むことで、より良い結果が期待できます。

歯周病治療の最新技術:何が利用可能か

歯周病治療の最新技術:何が利用可能か

レーザー治療とその効果

レーザー治療は、歯周病治療における最新の技術の1つです。この治療法では、レーザー光を用いて歯周ポケット内の細菌を除去し、歯石を効率的に取り除きます。また、レーザーの熱作用により、炎症を起こしている組織を正常な状態に戻すことが可能です。レーザー治療は侵襲性が低く、出血や痛みを大幅に減らすことができるため、患者さまも安心して受けやすいというメリットがあります。

バイオテクノロジーと再生医療

バイオテクノロジーと再生医療も、歯周病治療の最新技術の一部です。この分野では、細胞や生体分子を利用した治療法が開発されています。例えば、幹細胞療法は、損傷した歯周組織を再生する可能性を秘めています。また、成長因子や抗体を用いて、炎症の原因となる細菌を制御する新たな治療法も研究されているなど、今後にも期待される分野です。

最新の予防策と製品

予防は治療よりも重要と言われており、歯周病に対する最良の対策は間違いなく「予防」です。近年では、歯間ブラシや電動歯ブラシなどの新しい歯科用具が登場しています。これらは、歯と歯肉の隙間に詰まった食べ残しや細菌を効果的に取り除くことができ、歯周病予防に大いに寄与します。 また、最新の予防製品として、口腔内フローラを改善するためのプロバイオティクス入り歯磨き粉や口腔洗浄液なども市販されています。これらの製品は、口腔内のバランスを整え、歯周病を引き起こす細菌の繁殖を防ぐ効果に期待できます。

歯周病のコスト:保険と治療費用について理解する

歯周病のコスト:保険と治療費用について理解する

治療費の見積もりと予算設定

歯周病の治療は、症状の重度や治療計画により、費用が大きく変わる場合があります。治療に先立って歯科医師から治療計画とそれに伴う治療費の見積もりを取ることは大切です。これにより、あらかじめ必要な費用を把握し、予算を設定することが可能になります。

健康保険の適用と自己負担

日本の健康保険は、歯周病の一部の治療費をカバーしています。ただし、全ての治療が保険適用となるわけではありません。例えば、最新のレーザー治療や一部の再生治療は自費診療の場合が多いです。そのため、自己負担の可能性を十分に理解し、自分の健康保険がどの程度の費用をカバーするのかを確認することが重要です。

費用効果の最大化

治療費用の負担を軽減するためには、費用効果を最大化することが重要です。それは、例えば、定期的な検診と早期治療により進行を防ぎ、高額な治療費を抑えることが一例となります。また、良質なホームケア製品を利用し、日々の口腔ケアを徹底することも、長期的な視点での経済的な負担を軽減します。 また、費用対効果を考慮する上で、治療の結果とその持続性も考えるべきです。短期的な費用を抑えることが必ずしも最良の選択とは限りません。確かな技術と良質な材料を用いることで、治療効果の持続性を保つことが、長期的な視点での費用効果の最大化につながります。

歯周病治療後の生活:維持ケアと再発防止

歯周病治療後の生活:維持ケアと再発防止

メンテナンスと定期検診

歯周病の治療後、最も重要なのは治療成果を長く維持することです。そのためには、定期的な歯科検診とメンテナンスが必要不可欠となります。診察では、歯石の除去や歯周ポケットの測定などを通じて、再発の兆候を早期に察知することができます。歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングも、ホームケアだけでは取りきれないプラークや歯石を除去し、口腔内環境を整える助けとなります。

歯周病の再発とその防止

残念ながら、一度歯周病になった人は再発のリスクが高まります。しかし、適切なケアと予防策を講じることで、再発のリスクは大幅に減らすことが可能です。毎日のブラッシングとフロッシングはもちろん、定期的な歯科診察とクリーニング、バランスの良い食事、タバコの使用を避けるなどが再発防止には欠かせません。

健康な口腔環境の維持

歯周病治療後の生活は、健康な口腔環境の維持に重点を置くべきです。これには、口腔衛生の維持、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの管理などが含まれます。また、病状の変化に気づいたらすぐに歯科医に相談することも大切です。これらの行動は、歯周病だけでなく、虫歯や口臭、口腔がんなど、他の口腔疾患の予防にも寄与します。 歯周病は「無痛の疾患」であるため、自覚症状がないまま進行することがしばしばあります。しかし、その影響は口腔内だけでなく全身に及ぶことがあります。自分自身の口腔健康を重視し、日々のケアを大切にすることで、健康な口腔環境と質の高い生活を長く維持することができます。

インプラントと歯周病の関連性について

インプラントと歯周病の関連性について何らかの理由で歯が失われた時、すぐに噛む能力を取り戻す治療が求められます。そのためには入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの補綴治療が利用可能で、インプラントは特に自然な見た目と機能性を提供する高度な治療法として注目されています。しかし、歯周病により歯が失われた際には、インプラント治療が困難な場合があるため、患者が希望する治療が実現できないこともあります。 では、歯周病とインプラント治療との間には何が関連性があるのでしょうか?

歯の失われ方がインプラント治療の適用に影響する?

歯を失う主要な要因は、虫歯と歯周病です。これらの疾患が進行すると、歯を保つことが不可能になります。したがって、残念ながら歯を失った場合、噛む能力を迅速に回復するための治療が必要となります。 その選択肢として「インプラント治療」が最も注目されております。インプラントは失われた歯の部分に人工の歯根を挿入し、その上(上部構造)にセラミックなどの補綴物を被せ、噛む能力を回復させる治療法です。 インプラントは、見た目と機能性に加え、残った歯の健康を維持しやすいという点でも、入れ歯やブリッジに比べて歯科治療として非常に優れた特徴を持っています。

しかし、歯を失った原因によっては…

しかし、歯を失った原因によっては… ただし、歯を失った原因によっては、インプラント治療が難しくなることもあります。 インプラントは顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋入することで歯の根の役割を果たします。しかし、歯周病により顎の骨が大幅に吸収された場合、インプラント体を支えるための骨の量が不足してしまいます。虫歯は、歯が溶ける病気なので歯槽骨には影響がないのですが、歯周病は歯そのものの病気ではなく、歯を支える歯ぐきや歯槽骨に炎症が起こる病気です。そのため、重度の歯周病で歯槽骨が大幅に吸収されている方は、インプラント治療が難しいとされ、インプラント以外の治療法を選ぶことが必要になることがあります。つまり、顎の骨が強固でなければ、インプラント体を支える事が難しいのです。しかし、全ての歯周病患者さんがインプラント治療ができないというわけではありません。軽度の歯周病患者は、まず歯周病治療を行った後にインプラント治療に進むことが可能です。さらに、重度の歯周病患者でも、インプラント技術の進歩により、顎の骨量を増やす手段を取ることで、インプラント治療を選択することが可能となりました。しかし、技術の進歩にも関わらず、原因となる歯周病を適切に治療しなければ、容易にインプラント治療は実行できません。虫歯は一本の歯だけが影響を受けますが、歯周病は口腔全体に影響を及ぼすため、虫歯と比較してすぐに治療できるわけではないのです。そのため、定期的に歯科医院を訪れ、歯石を除去したりクリーニングを受けたりし、歯周病の進行を抑えることが重要です。

インプラント治療後の注意点

インプラント治療後の注意点 また、歯周病患者は、インプラント治療後も特別な注意が必要です。インプラント治療後によく見られる問題の一つが、「インプラント周囲炎」です。これは歯周病と似た症状で、歯周病菌がインプラント体の周囲に炎症を起こすものです。この「インプラント周囲炎」は、歯周病菌により引き起こされ、放置するとインプラントの安定性に影響を及ぼす可能性があります。したがって、インプラント治療を受けた後も、口腔衛生には十分な注意を払う必要があります。通常の歯周病と同様に、インプラント周囲炎も初期段階であれば治療が可能です。しかし、炎症が進行し、顎の骨へと広がると、インプラント体の安定性が低下し、最悪の場合、インプラント体が外れることさえあります。歯周病のリスクを低減するためには、インプラント治療の前後における口腔内ケアが不可欠です。その中でも特に重要なのは、定期的な歯科診察とプロフェッショナルなクリーニングです。これにより、歯周病菌の繁殖を抑制し、健康な口腔環境を保つことが可能になります。また、日々の口腔ケアも重要です。適切なブラッシングとフロッシングを行い、口腔内の清潔さを保つことで、歯周病の発症を防ぎます。

まとめ

まとめ 結論として、インプラント治療は非常に有効な補綴治療法ですが、歯周病の存在はその適応を制限することがあります。しかし、適切な治療と継続的な口腔ケアにより、歯周病をコントロールし、成功的なインプラント治療を達成することが可能です。そのため、あなたがインプラント治療を検討している場合でも、まずは歯周病の状態を評価し、必要な治療を受けることが重要です。そして、治療後も口腔衛生の維持に努めることが求められます。インプラント治療は高度な技術を必要としますが、その成功はあなた自身の口腔ケアに大きく依存します。定期的な歯科診察と日常的な口腔衛生管理は、インプラントの持続性と機能性を確保する上で絶対に必要です。歯周病を予防し、適切に管理することで、インプラント治療の成功率を高め、口腔内の健康を維持することができます。そして、これらの努力により、食事や会話など日常生活の質を向上させることができます。
インプラント治療ガイド

歯周病と歯列矯正治療

歯周病と歯列矯正治療以前より歯周病の分野において、「歯並びが整っていない(不正咬合)とプラークコントロールが困難になり、歯周病の進行を早める」と考えられてきました。歯周病が進行するにつれて、病的な歯の移動が自然に起き、歯の並びも乱れてしまいます。 これにより、歯列矯正治療が歯周病治療の一部として認識されるきっかけとなったのです。 この考え方から、「歯周病を伴う患者さまの矯正治療」を”歯周矯正治療”と呼ぶようになりました。歯周病を伴う患者さまが歯を適切な位置に移動させることで、咬合力(咬む力)の負担が適切に分散され、周囲の骨の一部が再生するなど、近年では「歯周矯正治療」が歯周治療後の歯周組織の安定に貢献するとの報告が増えてきました。 しかし、歯周病で病的な歯の移動が起こった歯並びを無闇に矯正すべきかと言うと、答えは否です。 歯周炎患者(歯肉炎を除く)を対象とした研究によれば、「歯周ポケット(4mm以上)がある歯を動かす場合、ポケット内にプラークや歯石が存在すると、矯正力が歯周病原因菌の活動を増加させ、歯周病をさらに悪化させる」と報告されています。

プラークコントロールがカギとなります

歯周病と歯列矯正治療ただし、これは全ての歯周病患者に矯正治療が不可能であることを意味するものではありません。歯周病治療後、状態が安定していれば、適度な力を用いて行えば、特に歯周病を悪化させる(周囲の骨を失うリスクを増加させる)わけではないという報告もあります。 これを踏まえて、実際の歯周矯正では、矯正治療前に歯周病の診断と治療を行い、治療中は一般の矯正患者以上にプラーク管理に気を付ける必要があることを覚えておくべきでしょう。 「歯周矯正治療」の流れは、まず歯周病の診察・診断から始まり、歯周治療を優先します。歯周ポケット内の歯周病菌を減少させ、歯周組織の安定が確認できてから歯周矯正治療を開始します。もちろん、治療中だけでなく、治療後も歯周病の再発リスクがあるため、定期的に来院してメンテナンスを行い、並行して歯並びの管理も行います。 この説明から、歯周病がコントロールされていない状況で、不注意に矯正力を適用すると歯周病がさらに悪化する可能性があることを理解していただけたと思います。 重度の歯周病では、矯正力の影響について考えるよりも前にすでに多くの周囲の支持骨が失われております。そのため、歯をきれいに並べることは可能ですが、咬合力に耐えられる環境が保てない場合、最終的に抜歯が必要になることもあります。 歯周病の進行が重度であるほど歯の移動は容易ですが、それだけで全体の歯列の問題を解決できない場合もあります。そのため、「歯周矯正治療」では、以下に示すような”多様な治療オプションを含む選択肢”を考慮することが非常に重要です。 ですが、「歯周矯正治療」は、矯正治療だけでなく他の知識や治療技術も必要な複雑な領域であり、大学を含む矯正歯科での取り扱いが不明確で、患者さまが行き場を失っている状況がしばしば見られますのも現状です。

歯周矯正治療の際に考慮すべき事項とは?

歯周矯正治療の際に考慮すべき事項とは?
    • 支持骨が少ない歯を矯正に参加させず、前歯など限定的な範囲での矯正治療だけで目標を達成できないか?
    • 支持骨の少ない歯を最小限の負担(矯正力の大きさ、移動量、期間など)で動かし、目標を達成できないか?
    • 歯周矯正治療後に、冠やブリッジなどの補綴治療が必要にならないか?
    • 歯周矯正治療後に、部分的なインプラント治療が必要にならないか?
    • 全顎的なインプラント治療を計画することにより、歯周矯正治療を行うよりも、患者さまの負担(費用、治療期間、治療に関わる患者さまの労力など)が小さくなり、治療後の安定性も優れ、審美性も期待できるのではないか?
歯周病と歯列矯正治療

歯周病とは

歯周病とは 歯周病は、歯周ポケットに潜む細菌による慢性の感染症です。 人の体は皮膚で覆われているため、傷がつかない限り細菌が侵入することはありません。しかし、体の中で唯一骨と直接つながっている歯肉部分は、細菌が侵入しやすい場所です。特に、歯の付け根は軟組織で穴が開いているため、細菌が付着すると体の中にすぐに侵入します。 細菌が侵入しても初めは症状がほとんどでませんが、慢性期が長期間続くと細菌を体の中に入れないための防御反応として炎症が起こります。それが歯周病です。 歯周病が原因で高血圧や心筋梗塞、糖尿病、脳梗塞を発症するリスクがあるため、歯周病予防が必要となります。

1.歯周病の全貌:根本から理解しよう

歯がぐらぐらしている方へ

歯周病の発症は、口腔内のバクテリアが歯の表面にプラークという粘り気のある物質を形成し、それが固まりターター(歯石)になることから始まります。これが歯肉に長期間触れると、歯肉炎を引き起こします。この状態がさらに進行すると、歯肉が歯から離れてポケットができ、感染が広がりやすくなります。これが最終的に歯周病へと発展します。

当院の歯周病治療の特徴

歯周病は、治療後のメンテナンスが重要です。当院では担当歯科衛生士制を導入し、患者さんの口腔環境を健康な状態に維持できるよう、歯周病が再発しないよう予防治療を徹底しています。 むし歯や歯周病の予防治療を専門に学んだエキスパートの歯科衛生士が口腔内のクリーニングを担当し、定期メンテナンス時に丁寧にお口の中を確認いたします。 できるだけ痛みが出ないように配慮しながらクリーニングやケアを行いますが、もしも痛みがある場合には遠慮なくお伝えください。 治療後は受付にて患者さんに治療内容についてのご感想をお聞かせいただいております。担当歯科衛生士制を導入しておりますが、時には患者さんと担当者の相性が合わない場合もあります。そのようなときには担当を変更することも可能ですから、遠慮なくお申し出ください。

年齢に応じた健康な歯ぐきとは

年齢に応じた健康な歯ぐきとは 30 代患者さんの健康な歯ぐきは歯肉は薄いピンク色。歯と歯の間の歯肉はきれいな三角形です。 50代になると歯肉のピンク部分が少なくなりますが、歯と歯の間の歯肉の形は三角形を保ちます。歯と歯の間に多少隙間が出来始めますが、衛生的な環境を維持すれば綺麗な口腔環境が保てます。 70代になると前歯の上下の歯肉に隙間が見られるようになりますが、衛生的な環境を維持すれば歯肉がピンク色の引き締まった状態を維持することが出来ます。 歯と歯の間の歯肉に隙間が見られるようになりますが、衛生的な環境を維持すれば歯肉もきれいな淡いピンク色を保てます。歯肉も引き締め、歯周ポケットも3mm以内に収めることが可能です。

歯周病の症状

歯ぐきの腫れ・出血が気になる方へ

◎歯肉炎・軽度歯周炎
歯肉炎・軽度歯周炎_1
歯肉炎・軽度歯周炎_2
歯ぐきの縁が赤く腫れ、歯磨きの時に出血する場合には、歯肉炎や歯周炎の可能性があります。症状が歯ぐきに限定されている場合は、歯磨き指導により改善される場合がほとんどです。 ただし、歯がぐらぐらするほどに症状が進んでいる場合には、外科的な処置が必要になる場合があります。 【歯肉炎】 炎症が歯ぐきのみに見られます。歯ぐきの縁が赤く腫れ、歯磨きの際に出血することがあります。この状態を放置すると、歯周炎へと進み最終的には歯が抜け落ちてしまいます。 【軽度歯周炎】 歯周ポケットが 3mm 以内で、歯の揺れる幅が 0.7 ~ 1.0mm 以内の状態を軽度歯周炎と呼びます。骨が少し溶け始めますが痛みを伴わないので気付きづらい状態です。 歯磨き指導 ( Teeth Brushing Instruction ) を行い、ご自身で丁寧に歯磨きをしていただくこと、また、クリニックにて歯石の除去も併せて行います。 下の画像は、歯磨き指導だけで改善した例です。
歯肉炎・軽度歯周炎_3
歯肉炎・軽度歯周炎_4
  • 症状 歯周ポケットがすこし出来始めた状態で来院されました。歯の揺れ幅も1mm以内だったため、歯石の除去と歯磨き指導を行い、自宅で丁寧に歯磨きをしていただいた。
  • 使用した物 患者さんの口腔環境にあった適切な歯ブラシ
  • 治療期間 おおむね1、2ヶ月
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 50,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

歯がぐらぐらしている方へ

◎中等度・重度歯周炎
中等度・重度歯周炎_1
中等度・重度歯周炎_2
中等度~重度の歯周炎(歯周病)により、歯を支える骨が失われて歯がぐらぐらしている状態です。歯ぐきが後退していくため、歯が長くなったように見え、口臭が気になり始めるほか、歯ぐきから膿が出たりします。場合によっては抜歯が必要になることもありますので、早急にご相談ください。 【中等度歯周炎】 歯周ポケットが 3 ~ 6mm 以内、歯の揺れる幅が 1 ~ 2mm 以内で骨が半分程度溶けてしまった状態です。歯がぐらぐらし始め、歯ぐきは後退して歯が長くなったように見えてきます。 【重度歯周炎】 歯周ポケットの深さが 6mm 以上、歯の揺れる幅が 2 ~ 3mm の歯周炎を重度歯周炎といいます。歯を支える骨は 3 分の 2 程度失われて、歯はぐらぐらして硬いものを噛むことができなくなります。 外科的な処置を中心に、場合によっては抜歯という選択肢も視野に入れて治療をしてまいります。

重度歯周病の治療例

◎重度歯周病の治療例 治療例 1
治療前 重度歯周病の治療例1_治療前
治療後 重度歯周病の治療例1_治療後
  • 症状 重度の歯周炎により上顎の歯が全て外向きにひらき歯間が開いた状態で来院されました。
  • 治療方法 下顎臼歯部(下奥歯)を抜歯した状態のままになっておりましたので、前歯が強くあたり、歯周病も重なり前歯が開いてしまっていました。下奥歯欠損部はインプラントによる治療、また開いてしまった上顎は矯正により元の位置に戻しました。下に入れたインプラントにより全ての歯が均一に噛み合うようになり、歯周病の治療もスムーズに行えました。
  • 使用した物 歯周病治療にプラスしてインプラント治療を行いました。(歯周病の周りの歯を連鎖的に悪くさせたいため)
  • 治療期間 1年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。また、歯周病の存在が周りの歯に悪い影響を与えるため、無理に残すと他の歯にも影響を与えてしまいます。この患者さんは、連鎖の可能性が高い歯も同時に抜歯をされたため、歯周病のリスクは回避できました。
  • 金額 2,000,000円 (税込み)

治療例 2

治療前 重度歯周病の治療例2_治療前

治療後

重度歯周病の治療例2_治療後
  • 症状 重度歯周炎により下顎前歯が動揺して来院されました。
  • 治療方法 下顎前歯4本は動揺が著しく、歯並びが悪くメンテナンスが上手くできない状態でしたので抜歯させていただきました。抜歯後、歯肉の退縮を最小限に抑える為、ソケットプリザベーションにより人工の骨を填入、平らでメンテナンスのしやすい状態にし、その後ブリッジの製作を行いました。
  • 使用した物 ソケットブリザベーション(インプラント治療)※治療後15年経過の状態
  • 治療期間 4ヶ月
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 400,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

治療例 3

治療前 重度歯周病の治療例3_治療前

治療後

重度歯周病の治療例3_治療後
    • 症状 歯の動揺と隙間が広くなってきた事を気にされて来院されました。
    • 治療方法 左下奥歯(臼歯)は欠損したままになっておりましたのでインプラントによる欠損部の治療を行いました。欠損部にインプラントを入れるだけの充分な骨量がありませんでしたが、残存歯の負担をなるべく少なくするため、インプラント治療を行っています。その他歯周病治療を行っておりますが、上顎正中は歯槽骨の欠損が大きかった為、エムドゲイン法による再生治療も行っています。
    • 使用した物 再生療法 ※治療後20年以上経過した状態
    • 治療期間 4ヶ月
    • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
    • 金額 50,000円〜200,000円 (税込み) ※症状によって金額が異なることがございます。

料金について

歯周外科治療とは

歯周外科治療とは 歯周外科治療とは、歯周病に対する治療や抜歯を避け、歯を残すための再生療法のことです。破壊された歯の周囲の組織や骨の再生を促します。

治療方法

【エムドゲイン法】

歯周ポケットの改善や歯槽骨の再生を促すための治療です。 むし歯などの治療が終わった段階で、歯周ポケットが6mm以上ある場合、エムドゲインによる再生療法を行います。 歯肉を切開して歯根を露出させます。歯根表面の歯石を除去した後、汚れを徹底的に取り除き、エムドゲインを塗布します。その後、歯肉弁を戻し縫合します。

【歯肉弁根尖側移動術】

歯肉が狭い場合や歯周ポケットが深い場合に行う外科手術です。 むし歯が歯槽骨の近くまで達している場合でも、歯肉の位置を下げて歯を長く露出させ治療することで歯を残すことが可能です。また、歯ぐきの位置がばらばらで一定していない方の審美治療としても利用できます。

【根面被覆術】

歯肉退縮(歯ぐきが下がること)のため露出した歯根面を覆う治療方法です。 歯肉を移植し縫合することで、露出していた歯根を覆い歯ぐきを短くできます。もともと歯ぐきの長さがバラバラの方の審美治療としても有効です。

【PAOO(即時矯正)】

矯正治療時の歯の移動を、効率よく短期間で行う治療方法です。歯の移動を行う場合に歯槽骨(歯ぐきの骨)に切れ目を入れて歯を動かしやすくします。歯の移動と骨再生を同時に行うことで、治療期間の短縮と歯槽骨の増大が見込まれます。

治療例

中等度・重度歯周炎まで進行してしまった場合、外科的な処置が中心となります。 ◎エムドゲイン法 歯周病によって部分的に失われた歯を支える組織を回復する治療です。歯ぐきを切開し、失われた歯周組織の部分にエムドゲインという薬剤を塗布して縫合します。

治療前

エムドゲイン法_治療前

治療後

エムドゲイン法_治療後
  • 症状 歯周病により、歯周ポケットが深くなり、歯がグラグラし始めたので来院されました。
  • 治療方法 エムドゲイン法で、片側の歯槽骨の再生を促す治療を行いました。
  • 使用した物 エムドゲイン液の塗布。
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

◎歯肉弁根尖側移動術 (APF – Apically Positioned Flap surgery) 歯周病に侵された歯肉を除去し歯周病の進行を食い止める手術です。歯周ポケットが浅くなり、歯周病原菌が繁殖しづらい環境を作ります。

治療前

歯肉弁根尖側移動術_治療前

治療後

歯肉弁根尖側移動術_治療後
  • 症状 歯周病治療のため来院されました。歯周病が悪化し歯周ポケットが深くなり、歯肉の位置も上下バラバラに見える状態です。
  • 治療方法 上顎前歯のブリッジを取り外し、歯肉を切開しました。歯周ポケットがなくなったことで口腔環境は大幅に改善しました。最後にオールセラミックスのブリッジを装着して完了です。
  • 使用した物 オールセラミックスのブリッジ
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

◎根面被覆術 歯周病が進行すると、歯を支える歯周組織が破壊され、歯ぐきは後退して歯が長くなったように見えます。歯周病が治った後もこの後退した歯ぐきは元に戻らないため、笑ったときの見栄えを気にされる方も多くいらっしゃいます。根面被覆術は歯肉を移植して見栄えを改善する手術です。

治療前

根面被覆術_治療前

治療後

根面被覆術_治療後
  • 症状 歯周ポケットの一部がかなり深くなった状態で歯根が露出し、歯肉もなくなり菌が繁殖している状態です。
  • 治療方法 歯肉を移植して縫合した後、露出していた歯根を覆う根面被覆術を行いました。
  • 使用した物 オールセラミックスの被せ物
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)
◎PAOO(即時矯正) 歯並びが悪いと、歯磨きもしづらく、歯周病の治療・プラークコントロールが困難になります。こうしたケースでは、まずこのPAOOで歯並びを速やかに改善し、歯周病治療を効果的に進めることができます。

治療前

PAOO(即時矯正)_治療前

治療後

PAOO(即時矯正)_治療後
  • 症状 歯並びや噛み合わせが悪い状態です。歯周ポケットが深く、歯周病が悪化している状態で来院されました。
  • 治療方法 歯の移動を効率よく短期間で行うためにPAOO(即時矯正)で対応しました。歯が適切に移動できるように歯槽骨(歯ぐきの骨)に切れ目を入れ、歯の移動と骨再生を同時に行い、短期間で矯正治療が完了できました。
  • 使用した物 即時抜歯矯正治療のみ
  • 治療期間 おおむね半年
  • 治療に伴うリスク 再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。
  • 金額 200,000円 (税込み)

インプラントと歯周病の関連性について

インプラントと歯周病の関連性について 何らかの理由で歯が失われた時、すぐに噛む能力を取り戻す治療が求められます。そのためには入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの補綴治療が利用可能で、インプラントは特に自然な見た目と機能性を提供する高度な治療法として注目されています。しかし、歯周病により歯が失われた際には、インプラント治療が困難な場合があるため、患者が希望する治療が実現できないこともあります。 では、歯周病とインプラント治療との間には何が関連性があるのでしょうか?

歯の失われ方がインプラント治療の適用に影響する?

歯を失う主要な要因は、虫歯と歯周病です。これらの疾患が進行すると、歯を保つことが不可能になります。したがって、残念ながら歯を失った場合、噛む能力を迅速に回復するための治療が必要となります。 その選択肢として「インプラント治療」が最も注目されております。インプラントは失われた歯の部分に人工の歯根を挿入し、その上(上部構造)にセラミックなどの補綴物を被せ、噛む能力を回復させる治療法です。 インプラントは、見た目と機能性に加え、残った歯の健康を維持しやすいという点でも、入れ歯やブリッジに比べて歯科治療として非常に優れた特徴を持っています。

しかし、歯を失った原因によっては…

しかし、歯を失った原因によっては… ただし、歯を失った原因によっては、インプラント治療が難しくなることもあります。 インプラントは顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋入することで歯の根の役割を果たします。しかし、歯周病により顎の骨が大幅に吸収された場合、インプラント体を支えるための骨の量が不足してしまいます。虫歯は、歯が溶ける病気なので歯槽骨には影響がないのですが、歯周病は歯そのものの病気ではなく、歯を支える歯ぐきや歯槽骨に炎症が起こる病気です。 そのため、重度の歯周病で歯槽骨が大幅に吸収されている方は、インプラント治療が難しいとされ、インプラント以外の治療法を選ぶことが必要になることがあります。 つまり、顎の骨が強固でなければ、インプラント体を支える事が難しいのです。 しかし、全ての歯周病患者さんがインプラント治療ができないというわけではありません。軽度の歯周病患者は、まず歯周病治療を行った後にインプラント治療に進むことが可能です。さらに、重度の歯周病患者でも、インプラント技術の進歩により、顎の骨量を増やす手段を取ることで、インプラント治療を選択することが可能となりました。 しかし、技術の進歩にも関わらず、原因となる歯周病を適切に治療しなければ、容易にインプラント治療は実行できません。虫歯は一本の歯だけが影響を受けますが、歯周病は口腔全体に影響を及ぼすため、虫歯と比較してすぐに治療できるわけではないのです。 そのため、定期的に歯科医院を訪れ、歯石を除去したりクリーニングを受けたりし、歯周病の進行を抑えることが重要です。

インプラント治療後の注意点

インプラント治療後の注意点 また、歯周病患者は、インプラント治療後も特別な注意が必要です。インプラント治療後によく見られる問題の一つが、「インプラント周囲炎」です。これは歯周病と似た症状で、歯周病菌がインプラント体の周囲に炎症を起こすものです。 この「インプラント周囲炎」は、歯周病菌により引き起こされ、放置するとインプラントの安定性に影響を及ぼす可能性があります。したがって、インプラント治療を受けた後も、口腔衛生には十分な注意を払う必要があります。 通常の歯周病と同様に、インプラント周囲炎も初期段階であれば治療が可能です。しかし、炎症が進行し、顎の骨へと広がると、インプラント体の安定性が低下し、最悪の場合、インプラント体が外れることさえあります。 歯周病のリスクを低減するためには、インプラント治療の前後における口腔内ケアが不可欠です。その中でも特に重要なのは、定期的な歯科診察とプロフェッショナルなクリーニングです。これにより、歯周病菌の繁殖を抑制し、健康な口腔環境を保つことが可能になります。 また、日々の口腔ケアも重要です。適切なブラッシングとフロッシングを行い、口腔内の清潔さを保つことで、歯周病の発症を防ぎます。

まとめ

まとめ 結論として、インプラント治療は非常に有効な補綴治療法ですが、歯周病の存在はその適応を制限することがあります。しかし、適切な治療と継続的な口腔ケアにより、歯周病をコントロールし、成功的なインプラント治療を達成することが可能です。 そのため、あなたがインプラント治療を検討している場合でも、まずは歯周病の状態を評価し、必要な治療を受けることが重要です。そして、治療後も口腔衛生の維持に努 めることが求められます。 インプラント治療は高度な技術を必要としますが、その成功はあなた自身の口腔ケアに大きく依存します。定期的な歯科診察と日常的な口腔衛生管理は、インプラントの持続性と機能性を確保する上で絶対に必要です。 歯周病を予防し、適切に管理することで、インプラント治療の成功率を高め、口腔内の健康を維持することができます。そして、これらの努力により、食事や会話など日常生活の質を向上させることができます。
インプラント治療ガイド

歯周病と歯列矯正治療

歯周病と歯列矯正治療 以前より歯周病の分野において、「歯並びが整っていない(不正咬合)とプラークコントロールが困難になり、歯周病の進行を早める」と考えられてきました。歯周病が進行するにつれて、病的な歯の移動が自然に起き、歯の並びも乱れてしまいます。 これにより、歯列矯正治療が歯周病治療の一部として認識されるきっかけとなったのです。 この考え方から、「歯周病を伴う患者さまの矯正治療」を”歯周矯正治療”と呼ぶようになりました。歯周病を伴う患者さまが歯を適切な位置に移動させることで、咬合力(咬む力)の負担が適切に分散され、周囲の骨の一部が再生するなど、近年では「歯周矯正治療」が歯周治療後の歯周組織の安定に貢献するとの報告が増えてきました。 しかし、歯周病で病的な歯の移動が起こった歯並びを無闇に矯正すべきかと言うと、答えは否です。 歯周炎患者(歯肉炎を除く)を対象とした研究によれば、「歯周ポケット(4mm以上)がある歯を動かす場合、ポケット内にプラークや歯石が存在すると、矯正力が歯周病原因菌の活動を増加させ、歯周病をさらに悪化させる」と報告されています。

プラークコントロールがカギとなります

歯周病と歯列矯正治療 ただし、これは全ての歯周病患者に矯正治療が不可能であることを意味するものではありません。歯周病治療後、状態が安定していれば、適度な力を用いて行えば、特に歯周病を悪化させる(周囲の骨を失うリスクを増加させる)わけではないという報告もあります。 これを踏まえて、実際の歯周矯正では、矯正治療前に歯周病の診断と治療を行い、治療中は一般の矯正患者以上にプラーク管理に気を付ける必要があることを覚えておくべきでしょう。 「歯周矯正治療」の流れは、まず歯周病の診察・診断から始まり、歯周治療を優先します。歯周ポケット内の歯周病菌を減少させ、歯周組織の安定が確認できてから歯周矯正治療を開始します。もちろん、治療中だけでなく、治療後も歯周病の再発リスクがあるため、定期的に来院してメンテナンスを行い、並行して歯並びの管理も行います。 この説明から、歯周病がコントロールされていない状況で、不注意に矯正力を適用すると歯周病がさらに悪化する可能性があることを理解していただけたと思います。 重度の歯周病では、矯正力の影響について考えるよりも前にすでに多くの周囲の支持骨が失われております。そのため、歯をきれいに並べることは可能ですが、咬合力に耐えられる環境が保てない場合、最終的に抜歯が必要になることもあります。 歯周病の進行が重度であるほど歯の移動は容易ですが、それだけで全体の歯列の問題を解決できない場合もあります。そのため、「歯周矯正治療」では、以下に示すような”多様な治療オプションを含む選択肢”を考慮することが非常に重要です。 ですが、「歯周矯正治療」は、矯正治療だけでなく他の知識や治療技術も必要な複雑な領域であり、大学を含む矯正歯科での取り扱いが不明確で、患者さまが行き場を失っている状況がしばしば見られますのも現状です。

歯周矯正治療の際に考慮すべき事項とは?

歯周矯正治療の際に考慮すべき事項とは?
    • 支持骨が少ない歯を矯正に参加させず、前歯など限定的な範囲での矯正治療だけで目標を達成できないか?
    • 支持骨の少ない歯を最小限の負担(矯正力の大きさ、移動量、期間など)で動かし、目標を達成できないか?
    • 歯周矯正治療後に、冠やブリッジなどの補綴治療が必要にならないか?
    • 歯周矯正治療後に、部分的なインプラント治療が必要にならないか?
    • 全顎的なインプラント治療を計画することにより、歯周矯正治療を行うよりも、患者さまの負担(費用、治療期間、治療に関わる患者さまの労力など)が小さくなり、治療後の安定性も優れ、審美性も期待できるのではないか?
歯周病と歯列矯正治療