
お子さんの矯正相談に歯科医院へ付き添い、ふと自分の歯並びが気になった――そんな経験をお持ちの方は少なくないと思います。子育てが一段落し、ようやく自分のことを考える余裕が出てきたとき、鏡の中の歯並びが以前から引っかかっていた方もいらっしゃるでしょう。
重なった歯、出っ歯、八重歯。「若いころに治しておけばよかった」と感じながらも、忙しい日々の中で後回しになってきた歯並びの悩みが、お子さんの矯正をきっかけに改めて浮かび上がることがあります。これはあなただけに限った話ではなく、矯正を検討する親御さんの中でよく見られる流れです。
定期検診で「歯周病があるから矯正は難しいかもしれない」と言われると、多くの方がその言葉をそのまま「矯正はできない」と受け取ってしまいます。しかしこの言葉は、歯周病があれば矯正が永遠に不可能という意味ではありません。歯周病が活動している状態のまま矯正を開始することが難しい、という意味合いを含んでいる場合がほとんどです。
歯周病は、歯を支える歯槽骨(歯を支える骨)や歯肉に炎症が起きている状態です。矯正治療では歯に持続的な力をかけて移動させますが、炎症が残っている組織に力が加わると、骨の吸収が加速するリスクがあります。そのため「歯周病を先に落ち着かせてから」という順序が求められるのです。歯周病の有無そのものよりも、治療によって炎症が収まっているかどうかが矯正の可否に関わる重要な視点となります。
歯周病と矯正の両方を抱えている場合、鍵になるのは「同時にできるか」ではなく、「どの順序で進めるか」という発想です。歯周病の状態を適切に管理したうえで矯正に進むという流れは、歯科臨床で広く採られているアプローチです。重度の歯周病であっても、歯周治療によって炎症が安定すれば、矯正の適応を検討できるケースがあります。
ただし、歯周病の程度、歯槽骨の吸収の状況、そして歯の保存が可能かどうかによって、矯正への移行時期や方法は大きく異なります。「自分の場合はどうなのか」を明確にするには、歯周病と矯正の両方を診られる医院での精密な検査と診断が出発点になります。諦める前にまず現状を把握することが、選択肢を広げる第一歩といえるでしょう。

矯正治療で歯を動かすには、歯根を包む歯根膜(歯根と骨をつなぐ繊維性の組織)に持続的な力を加え、骨の吸収と再生を繰り返すことで歯の位置を少しずつ変えていきます。健康な歯周組織であれば、この吸収と再生のバランスが保たれているため、歯を安全に動かすことができます。
歯周病がある状態では、この前提が崩れています。歯周病によってすでに歯槽骨の吸収が起きている場合、矯正力によってさらなる骨の減少が加速する可能性があります。歯根を支える骨が十分に残っていない歯に力をかけると、通常のケースよりも大きな負担が歯周組織にかかるからです。
矯正で歯を動かす仕組みそのものが、歯周組織に対して一定の力学的負荷を与える行為である以上、その土台となる骨と歯肉の状態は、治療の安全性に直接かかわります。
歯肉に炎症がある状態で矯正を開始すると、歯周病の進行を意図せず後押ししてしまう場合があります。炎症が起きている歯周組織では、骨を吸収する細胞の活動がすでに高まっています。そこに矯正器具による継続的な刺激が重なると、骨吸収がさらに促進されるリスクが生じます。
矯正装置を付けることで、歯と歯の間や器具の周囲にプラーク(歯垢)が溜まりやすくなるという問題もあります。プラークの除去が不十分になれば、歯周病菌の活動が活発になり、炎症が治まりにくい状況が続きます。歯周病のコントロールが不十分なまま矯正を続けることは、歯周組織の破壊を加速させかねません。
「矯正で歯並びがきれいになっても、歯を支える骨が大幅に失われてしまった」という結果を避けるためにも、炎症の収束が矯正開始の前提条件として位置づけられています。
軽度の歯周病であれば、適切な歯周治療でプラークと歯石を除去し、炎症を収束させたうえで矯正に移行できるケースが多くあります。一方で、重度の歯周病では話が変わります。歯槽骨の吸収が広範囲に及んでいる場合、矯正力に耐えられるだけの骨の土台が残っているかどうかを、まず精密に評価する必要があります。
骨の吸収が進んだ歯は、矯正器具からの力に対して通常よりも反応しやすく、歯の動き方が予測しにくくなります。また、骨量が著しく不足している状態では、歯を動かすことで歯が安定する方向ではなく、むしろ不安定になるリスクがあります。
こうした理由から、重度歯周病のケースでは「歯周治療を十分に行い、骨と歯肉の状態を評価したうえで矯正の適応を判断する」という順序が、治療の安全性と結果の安定性を左右します。この判断を誤ると、矯正の途中で歯周状態が悪化し、治療計画の大幅な見直しが必要になることもあります。

歯周ポケット(歯と歯肉の境目にできる溝)の深さが一定の基準以下に落ち着き、出血や排膿といった炎症の徴候が消えていることが、矯正に進むための基本的な目安となります。歯を動かす矯正の力は、健全な歯周組織があって初めて安全に作用するものです。炎症が残った状態では、その力が組織の破壊をさらに加速させるリスクがあります。
目安として、歯周ポケットの深さが4mm以下であること、プロービング(ポケット内への器具挿入)時の出血がほとんど見られないことが、歯周組織の安定を示す臨床的なサインとされています。これらの指標は、歯科医院での精密な歯周検査によって数値として確認できます。「歯肉の腫れが引いた気がする」という自覚だけでは判断が難しく、数値による客観的な評価が求められます。
歯槽骨の吸収がどの程度進んでいるかは、矯正力の安全域を大きく左右する要素です。歯は歯槽骨に支えられながら動くため、骨の量が少ないほど、同じ矯正力でも歯根や周囲組織への負担が大きくなります。吸収が軽度から中等度であれば、歯周治療で炎症を抑制したうえで矯正に移行できるケースがあります。
重度の骨吸収が認められる場合は、そのまま矯正を開始するのではなく、まず歯周外科治療で骨や組織の状態を改善することが検討されます。骨の状態を正確に把握するには、CT撮影による三次元的な評価が有効です。X線写真だけでは見えにくい骨の立体的な減少量や形状を確認することで、矯正力をどの範囲でかけられるかの判断がより精密になります。
歯周組織が治療によって一時的に安定しても、プラークコントロール(口腔内の細菌の塊であるプラークを除去・管理する取り組み)が十分でなければ、矯正中に炎症が再燃する可能性があります。そのため、矯正開始の適否を判断する際、セルフケアの習慣は歯肉の状態と同等に重視されます。
矯正装置が口腔内に入ると、装置の周囲にプラークが蓄積しやすくなります。そのような環境でも炎症を抑制し続けるには、矯正前の段階でセルフケアが身についていることが不可欠です。磨き残しの多い状態で矯正を開始しても、歯周病のコントロールが追いつかず、治療の継続が困難になるケースもあります。歯科衛生士によるブラッシング指導や定期的なクリーニングを通じて、自身のプラークコントロールの精度を高めておくことが、矯正を安全に進めるための土台となります。

矯正への移行を判断するうえで、歯科医がまず確認するのは「歯を動かせる土台が存在しているか」という点です。歯並びの見た目だけでなく、歯槽骨の残存量と歯肉の炎症状態を同時に把握することが、安全な治療計画の出発点となります。
当院では歯科用CTを用いて骨の三次元的な状態を評価しています。レントゲンの二次元画像では捉えにくい骨吸収の範囲や深さも、CT撮影によって立体的に確認することができます。これにより、歯周病の進行が部位によって異なる場合でも、歯ごとの状態をより精密に把握したうえで治療の優先順位を検討することが可能です。
歯肉の状態については、歯周ポケットの深さや出血の有無に加え、プラークコントロールの定着度も確認項目に含まれます。炎症が残っている部位がある場合、その箇所の骨評価は変動する可能性があるため、初診時の検査結果はあくまで「現時点の状態」として捉え、歯周治療の進行に合わせて再評価するのが一般的です。
歯周治療を受けた後、どの時点で矯正への移行を判断するかは、治療の成否を左右する重要な分岐点です。スケーリングやルートプレーニングを終えてから一定期間が経過し、歯肉の状態が落ち着いたタイミングで再評価を行うのが標準的な流れとされています。
この再評価では、歯周ポケットの深さが治療前と比べてどの程度改善されたか、出血を伴う部位が減少しているかを確認します。炎症の収まりが確認できない段階で矯正力をかけると、歯根膜への負担が増し、骨吸収が加速するリスクがあるため、評価を焦ることは得策ではありません。
評価のタイミングは患者様の状態によって異なりますが、歯周治療後に数回のメンテナンスを重ね、担当の歯科衛生士と歯科医師がともに「炎症のコントロールが安定している」と判断できた段階が、矯正計画を具体化する目安となります。歯周治療と矯正を別々の医院で受ける場合、この評価結果を引き継ぐ情報共有の仕組みがあるかどうかも、医院選びの際に確認しておきたいポイントです。
矯正を開始できるかどうかの判断において、「保存困難歯(歯周病などの進行により、機能回復が見込めないと判断された歯)をどう扱うか」という問題は、治療計画全体の骨格を変える要素になります。
保存困難と判断された歯が口腔内に残ったままでは、矯正力をかけても十分な骨の支持が得られず、歯の移動が安定しない場合があります。歯並びを整えた後の噛み合わせにも影響するため、矯正開始前に抜歯が必要かどうかの判断を明確にしておくことが求められます。ただし、抜歯の判断は慎重に行うべきものであり、当院では「できるだけ歯を残す方向」で検討を重ねたうえで、保存の可否を判断しています。
歯を残せる可能性がある場合には、歯周外科治療や再生療法などの選択肢を検討することもあります。一方で、保存を試みても骨の支持が回復しないと判断されれば、矯正全体の設計に組み込んだうえで抜歯を計画することになります。「抜く歯」と「動かす歯」の整理が終わって初めて、矯正の治療計画が具体的な形になるという点は、歯周病を持つ患者様の矯正において特に意識が必要な視点です。

歯周治療の出発点となるのは、プラークや歯石(歯の表面に石灰化して付着した硬い沈着物)を徹底的に除去するスケーリング・ルートプレーニングです。スケーリングでは、歯周ポケット内を含めた歯面上の歯石を専用器具で取り除きます。さらにルートプレーニングでは、歯根表面に入り込んだ細菌や変性した歯根面を削り平らにする処置を行い、歯肉の再付着を促しやすい状態をつくります。
これらの処置は一度で完了するものではなく、歯周ポケットの深さや炎症の広がり具合に応じて、複数回にわたって段階的に進めていきます。処置後はプラークコントロールの指導と組み合わせながら、口腔内の細菌環境を整えていく流れが一般的です。歯肉の状態が改善するにつれて、ポケットの深さや出血の有無といった指標にも変化が現れてきます。
スケーリング・ルートプレーニングを終えた後も歯周ポケットが深いまま残っていたり、歯肉の形態が複雑で器具が届きにくい部位がある場合は、歯周外科治療の適応が検討されます。外科的なアプローチでは、歯肉を切開して歯根面を直視できる状態にしたうえで、器具だけでは取り除けなかった歯石や感染組織を除去します。
当院では、こうした歯周外科処置に対応できる手術室を院内に備えており、歯肉弁根尖側移動術(APF)などの処置を行っています。どの段階で外科が必要かは、再評価(治療後の経過を確認する診査)の結果をもとに判断します。歯肉の見た目が落ち着いていても、ポケット内の状態が改善していないケースがあるため、再評価は治療の進行を見極める重要な節目になります。
歯槽骨の吸収が一定以上進み、骨の形態に凹みや欠損が生じているケースでは、歯周組織再生療法という選択肢が検討される場合があります。この療法は、外科処置によって清掃した部位に特殊なタンパク質製剤などを用いることで、歯根膜や骨などの歯周組織が再形成される条件を整えることを目的としています。当院ではエムドゲイン法による再生療法に対応しており、骨吸収の形態が垂直的な凹み(縦に深く失われている形状)である場合に、適応が検討されやすいとされています。
一方、水平的に広範囲で骨が失われている場合には、再生療法の効果が得られにくく、別の方針が必要になることもあります。どちらの状態かはCTを用いた三次元的な骨評価によって把握できるため、同じ「骨吸収あり」という状態でも、精密な診断によって治療の選択肢は変わってきます。

歯周病と矯正を同時並行で進めることは原則としてなく、「歯周組織の安定を確認してから矯正を開始する」という順序が治療の基本的な考え方です。炎症が残った状態で矯正力をかけると、歯槽骨の吸収が加速するリスクがあるため、まず歯周病治療で組織の状態を整えることが出発点となります。
歯周病が安定していると判断されたのち、矯正治療が開始されます。矯正期間中も歯周組織の状態を継続的に観察し、定期的なメンテナンスを並行して行うのが一般的です。矯正が完了したら、リテーナー(後戻りを防ぐ保定装置)の装着と定期管理が次のステップとなります。この3段階の流れをあらかじめ把握しておくことで、「どの段階にいるのか」が明確になり、治療全体の見通しが立てやすくなります。
矯正治療が始まったあとも、歯周病が再燃する可能性はゼロではありません。矯正装置が装着されると歯の周囲の清掃が難しくなり、プラークが蓄積しやすい環境が生まれます。歯肉の出血が増えた、歯周ポケットが深くなった、歯が動く感覚とは別のぐらつきを感じるといった変化は、歯周病の再燃を疑うサインです。
こうした変化が現れた場合、矯正の進行を一時停止して歯周組織の再評価を行い、必要に応じてスケーリングや口腔衛生指導を実施することがあります。矯正の途中であっても歯周病への対処が優先されるため、「矯正が止まった」ことを焦る必要はありません。矯正中の定期的なメンテナンスは、こうした変化を早い段階で把握する機会としても機能しています。
矯正が完了した直後の歯は、まだ骨の中で安定しきっておらず、外力がなくなると元の位置に戻ろうとする性質があります。歯周病の既往がある場合、この後戻りのリスクは通常より高くなることが知られており、リテーナーによる保定期間を適切に設けることがとりわけ重要です。
矯正後の定期管理では、歯並びの安定状態を確認するだけでなく、歯周組織の健康状態も継続して評価します。歯並びが整ったことでプラーク除去がしやすくなる一方、自己ケアが緩みがちになるのもこの時期の特徴です。担当の歯科衛生士によるプロフェッショナルケアと、患者様自身の日々の口腔ケアを組み合わせることで、矯正で得た結果を長期的に維持しやすい環境が整っていきます。

歯周病と矯正の両方を抱える場合、治療の連携が円滑かどうかが治療の質を大きく左右します。歯周病の状態を把握している担当者と矯正担当者が別々の医院に分散していると、治療の進捗共有や再評価のタイミングがずれ、矯正中に歯周病が再燃しても対応が遅れるリスクが生じます。
当院では歯周病治療・外科処置・矯正歯科治療を同じ医院内で提供しており、歯周組織の状態を継続的に観察しながら矯正の開始や中断を判断することができます。白井市・西白井エリアで「歯周病があっても矯正できるか」という疑問を持つ方にとって、こうした一貫した診療体制は、治療の安全性と効率の両面で大きな意味を持ちます。
歯周病を持つ方の矯正の可否を判断する際、歯槽骨の吸収状態を三次元的に把握することが欠かせません。通常の平面的なX線撮影では、骨の厚みや歯根との位置関係を十分に評価しきれない場合があり、矯正力が加わる向きと骨の残量とのバランスを見誤るリスクがあります。
当院では高性能なCT撮影装置を備えており、口腔内全体の骨状態を立体的に確認したうえで治療方針を検討しています。骨吸収が進んでいる場合には、歯周外科治療や骨増大術(GBR)、エムドゲイン法を用いた再生療法を組み合わせるかどうかも含め、外科的対応の範囲に踏み込んだ検討が可能です。矯正の前提となる歯周組織の整備を、診断から外科処置まで一貫して行える体制が整っています。
矯正後の歯周組織を守るうえで、長期にわたるメンテナンス体制が整っているかどうかは、医院選びの重要な判断軸になります。歯周病は一度安定しても、プラークコントロールの乱れや全身的な変化によって再燃することがあります。担当者が都度変わる体制では、口腔内の細かな変化を継続的に追うことが難しく、再発の兆候を見落とすことにもなりかねません。
当院では担当歯科衛生士制を導入しており、同じ衛生士が定期的なメンテナンスを継続して担当します。矯正治療中はリテーナーの管理と並行して歯周組織の状態を観察し、必要に応じてスケーリングやルートプレーニングを組み合わせながら対応していきます。治療が完了したあとも歯周病のリスクが続く方にとって、この継続性こそが、矯正の効果を長期間守ることに直結します。

歯のぐらつきがあっても、歯周病治療によって炎症が落ち着き、ぐらつきが改善・安定した状態であれば、矯正の対象として検討できる場合があります。ぐらつきそのものが即「矯正不可」を意味するわけではなく、その背景にある歯槽骨の吸収量や、治療後の安定度が判断の軸になります。
一方で、ぐらつきが歯周病の炎症に起因している場合と、骨吸収が進みすぎて歯を支える土台そのものが不十分な場合では、見通しが大きく異なります。前者は歯周治療で改善できる余地がありますが、後者では矯正に先立って歯槽骨の状態を精密に評価する必要があります。当院では歯科用CTを用いた骨の三次元的な評価を行っており、ぐらつきの原因と程度を丁寧に確認したうえで方針をお伝えしています。
歯周病治療から矯正開始までの期間は、歯周病の進行度とセルフケアの定着具合によって変わるため、一概に「○か月後から」と区切ることは難しい状況です。軽度から中等度であれば、スケーリング・ルートプレーニングと口腔衛生指導を経て数か月以内に再評価を行い、状態が整っていれば矯正計画に移行するケースもあります。
重度の歯周病で歯周外科治療が必要な場合は、外科処置の後に組織が安定するまでの回復期間が加わるため、矯正開始までにさらに時間を要することがあります。「矯正を急ぎたいから歯周治療を短縮できないか」と感じる患者様もいらっしゃいますが、歯周組織が安定していない段階で矯正力をかけると骨吸収が加速するリスクがあるため、治療の順序は変えられません。再評価の結果を見て矯正開始の時期を判断するのが、結果的に治療期間全体を安定させることにつながります。
歯周病治療と矯正治療を組み合わせると、それぞれに費用が発生するため、トータルコストへの不安を感じる患者様は少なくありません。ただし、この2つの治療は「足し算」ではなく、互いに効果を補い合う関係にあると理解するとイメージが変わります。歯周病を放置したまま矯正を進めると骨吸収が進みやすく、矯正後に歯周病が悪化して治療が振り出しに戻るリスクがあります。
費用対効果の観点では、歯周病治療を先行させることが長期的な歯の寿命を守ることにつながり、結果として将来的な治療コストの抑制につながる場合があります。また、歯周病治療の一部は保険診療の範囲内で対応できるケースもあります。矯正費用については治療開始前にカウンセリングで詳細をご説明しており、費用と治療の優先順位について個別にご相談いただくことが可能です。何にいくらかかるかが不透明なままでは判断できない、という患者様の感覚は当然のことと考えています。

歯並びを整えることで、毎日のプラーク除去の精度が大きく変わります。歯が重なり合ったり、極端にねじれていたりする場合、歯ブラシの毛先が隅々まで届かず、プラークが蓄積しやすい環境が生まれます。歯周病を経験した方にとって、このセルフケアの”届かない領域”は、再発リスクを高める要因になります。
矯正によって歯の位置が整うと、歯ブラシや歯間ブラシが歯と歯の間に入りやすくなります。特に歯周病治療後は歯肉が下がって歯間部が広がりやすく、そこにプラークが溜まるリスクが高まります。歯並びが整った状態であれば、歯間ブラシを正しい角度で挿入しやすくなるため、日常ケアの効果が格段に上がります。
噛み合わせが偏ると、一部の歯に過剰な力が集中し、その歯の歯周組織が慢性的な負担を受け続けます。この状態は「咬合性外傷(噛む力による歯周組織へのダメージ)」と呼ばれ、歯周病の炎症が収まっていても、骨吸収が進行する要因として知られています。
矯正によって噛み合わせのバランスが改善されると、特定の歯に集中していた力が歯列全体に分散されます。歯周組織への物理的な負担が均等化されることで、治療によって安定した歯槽骨や歯根膜への過剰な刺激が軽減されます。歯周病治療で整えた組織の状態を長く維持するうえで、この力学的な改善は無視できない要素です。
矯正が終わった後も、歯周病の管理は継続して行うことが求められます。歯周病はセルフケアと定期的な専門的管理の両輪で維持されるもので、矯正の完了をもって終わりではありません。特にリテーナーを装着している期間は、装置まわりにプラークが付着しやすいため、ケアの方法を意識的に見直す機会になります。
定期的なメンテナンスでは、歯周ポケットの深さや出血の有無を確認し、プラークの除去が行き届いていない部位を歯科衛生士が把握します。自覚症状として炎症が現れる前に、こうした検査で変化を捉えられれば、初期の段階で対処できます。矯正後に歯並びと噛み合わせが整った状態を土台として、継続的なメンテナンスが歯周組織の安定を支えていきます。

歯周病があるからといって、矯正治療の扉が閉じているわけではありません。この記事を通じてお伝えしてきた核心は、「順序を踏むことで、歯周組織の状態が安定すれば矯正に進める可能性がある」という考え方です。
歯周病治療による炎症の除去、歯槽骨の状態の把握、プラークコントロールの習慣化——これらが整って初めて、矯正治療という選択肢が現実のものになります。重度歯周病であれば、スケーリング・ルートプレーニングや歯周外科治療を経て骨と歯肉の状態を改善し、その上で矯正の適応を判断していく流れが基本です。
矯正中も歯周組織の管理は続きます。矯正後のリテーナーと定期的なメンテナンスが、治療の成果を長く保つ上で欠かせない土台になります。「歯周病があると矯正は無理」という言葉をそのまま受け取る前に、現在の口腔内の状態を正確に知ることが、判断の出発点です。
当院では、歯周病治療と矯正治療を同じ医院内で完結できる診療体制を整えています。歯周病の状態を精密に評価した上で矯正の適応を検討し、治療の各段階で歯周組織の安定を確認しながら進めていくことを重視しています。
歯科用CTを用いた骨の三次元的な評価、歯周外科治療への対応、担当歯科衛生士制によるメンテナンス体制——これらが連携することで、重度歯周病を抱えながら矯正を検討している患者様の状態に、できる限り丁寧に向き合うことができます。「できるだけ歯を残せないか」という視点を持ちながら、患者様が納得した上で治療の方向性を選択できるよう、カウンセリングと精密検査を診療の柱に据えています。
院長は日本臨床歯周病学会認定医として歯周病領域の専門的な研鑽を積んでおり、インプラント・矯正・歯周外科を含む複合的なケースにも対応できる体制です。白井市・西白井エリアで「歯周病と矯正を同じ医院で相談したい」とお考えの方に、当院はそうした選択肢の一つになりえると考えています。
「他院で歯周病があると言われた」「歯がぐらついているが矯正を諦めたくない」——そのような状況にある方にとって、まず必要なのは現在の口腔内の状態を正確に把握することです。検診で受けた一言だけでは、歯周組織の回復可能性や矯正の適応有無は判断できません。
歯周ポケットの深さ、歯槽骨の吸収の程度、咬合性外傷の有無——これらを含めた精密検査を行うことで初めて、「歯周病治療でどこまで改善できるか」「その先に矯正という選択肢があるかどうか」が具体的に見えてきます。「今の状態で矯正できるかどうか」ではなく、「今の状態から何ができるか」という視点で相談できる場があることを、知っていただきたいと思います。
オリオン歯科医院 西白井本院では、歯周病治療と矯正治療の両方に対応しています。歯並びへの不安と歯周病への心配を同時に抱えている方は、一度現在の状態を確かめるところから始めてみてください。
監修:医療法人社団 櫻雅会
オリオン歯科医院
住所:千葉県白井市大松1丁目22-11
電話番号☎:047-491-4618
*監修者
医療法人社団 櫻雅会 オリオン歯科医院
ドクター 櫻田 雅彦
*出身大学
神奈川歯科大学
*略歴
・1993年 神奈川歯科大学 歯学部卒
日本大学歯学部大学院博士課程修了 歯学博士
・1997年 オリオン歯科医院開院
・2004年 TFTビル オリオンデンタルオフィス開院
・2005年 オリオン歯科 イオン鎌ヶ谷クリニック開院
・2012年 オリオン歯科 飯田橋ファーストビルクリニック開院
・2012年 オリオン歯科 NBFコモディオ汐留クリニック開院
・2015年 オリオン歯科 アトラスブランズタワー三河島クリニック 開院
*資格・所属
・インディアナ大学 JIP-IU 客員教授
・コロンビア大学歯学部インプラント科 客員教授
・コロンビア大学附属病院インプラントセンター 顧問
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・アジア太平洋地区副会長
・AIAI(国際口腔インプラント学会)指導医
・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)インプラントアソシエーションジャパン 理事
・AO(アメリカインプラント学会)インターナショナルメンバー
・AAP(アメリカ歯周病学会)インターナショナルメンバー
・BIOMET 3i インプラントメンター(講師) エクセレントDr.賞受賞
・BioHorizons インプラントメンター(講師)
・日本歯科医師会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯周病学会
・日本臨床歯周病学会 認定医
・ICD 国際歯科学士会日本部会 フェロー
・JAID(Japanese Academy for International Dentistry) 常任理事